聖なる地球、それは良い母親や父親が、何の見返りを期待することなく、ひたすら子どもたちの幸福だけを願い愛情を注ぐように、全ての生命体を守っています。
その植物相は私たちを優しく包み込み、保護し、その果実で生けるもの全てに命の糧を与え、風が樹木の葉花を揺るがせても、枝に遊ぶ鳥たちが落ちないよう気配りしてバランスを保っています。
大地は人や動物が植えた種の発芽を助け、やがて果実を実らせ、私たち全ての生き物に命の糧となる食物を与えてくれます。
河川は命の血液が流れる血管のように、世界の隅々までいきわたり、土壌を豊潤にし活力を与え、命を育んでいます。
深い夜のまどろみの中で動物たちが奏でる歌声に、人はうっとりとした空想に誘われます。月を見上げ、恋を語る者たちは、たとえ地球のどこにいようとも、満天の星空に優しく包まれています。
人間が残虐な戦を犯しても、母なる地球は変ることなく彼らを優しく保護し、傷ついた者たちも、死んだ者たちも、生き残った者たちも、分け隔てなく守り、愛を与えます。
人間は母なる地球を傷つけ、戦争を起こし、互いを傷つけあい、地雷を仕掛け爆発させています。人間の自分勝手な欲望から、森林を伐採し、ダム建設のために河川の自然な流れを愛するものに、見知らぬものに、そして何の罪もなく関わりのないものたちに痛みと悲しみを与えています。
自然は変らなければならないものたちに、警告し、学びを説き、忠告し、そして導いています・・・変らなければならない時が来ていると、もうこれ以上森林を伐採しないようにと、動物を殺傷しないようにと、そしてこの惑星のバランスを損なうようなガスを発生しさせてはいけないと。
森の精霊たちは、より良い世界への道標を示してくれます・・・人類が、たとえどんな小さくても、改善への意志を確実に行動に反映してしていくこと、それがこれからの全ての生き物にとって幸福な世界を実現していくことにつながるのだと、教えてくれます。危険を警告し、全ての生き物は他の全てのために行動しなければならないと悟らせてくれます。平和と愛と調和への道を示し、今この惑星のバランスが崩壊する危険な状態にあると警報を鳴らしています。未来を見つめるよう導き、現在の地球を守れるようにと誘ってくれています。森林、河川、空気、土壌、動物、人間の環境破壊をこのまま放置していくことで必然的に起こる結末、それを招いてはならないと忠告してくれています。
自然は私たちが目指すべき処を、そして何を守るべきかを示してくれています。そして、それらの忠告や警告に耳を傾け、辿るべき道を自覚し、母なる地球が無償の愛で私たちを守り、命を与えてくれているのと同じように、母なる地球を守っていくべきなのだと・・・私たち人間がそれを自ら理解すべきなのです。
地球の未来の後見人は、私たち自身です。ですから私たちが今此処で何をどうするかで、この先私たちが生き残れるかどうかが決定されるのです。
地球は母親であり父親です。それは、微小生物から巨大な生物に至るまで全ての生命体に愛と平和を伝え、人類に調和を呼びかけています。しかし、その母なる地球の無償の愛を心から受け止め理解して、全ての生きとし生けるものを愛し、地上の隅々にいたるまで、何処にいても、何時如何なる場合でも平和な世界を持続していくことは、私たち人間、個々の自覚と決意次第なのです。
私たちの惑星を守るのは、私たち一人ひとりの自覚と行動にかかっているのです。
アウミール・ナラヤモガ・スルイ
ブラジルのロンドニア州に住むバイテル・スルイ族の首長で、スルイ族メタレイラ協会の総括コーディネーター。20年以上スルイ族を助け、アマゾンの熱帯雨林を守る活動に専念しています。17歳で長老から村の族長に選ばれ、部族から初めて大学へ進学。アマゾンの天然資源とスルイ族の先住文化を守る為、リーダーとして闘ってきた功績を国際的に認められ、多数の賞を獲得。
先日お客様からお借りしたVisions of the living earth からの抜粋です。
世界中の知識人からの寄稿と言葉に出来ないほどの美しい写真たちから
構成された一冊の本の中に、愛と知性を感じずにはいられませんでした。
わたしたちの未来は私達ひとりひとりの小さな選択にかかっているのです。
母なる地球の未来のために、そして未来の子どもたちのために、
あなたは何をしますか?